正直者

第3章

第3節 現実世界の全体性

前節で、心的状態は私の思いや言動を内省することによって見出される内在的原因であるということを考察しました。 ここでは、心的状態が内在的原因として働いているのは、本当に思いや言動だけだろうかということを見ていきます。 通常、心的状態には、これ...
第3章

第4節 心的状態の全体性

心的状態は像と同様、内省です。 しかし、像とは異なる点があります。 それは、像が誰にとっても同じように生じる所与的なものであるのに対し、心的状態は各人各様であるという意味において自発的だということです。そうであれば、それによって何らかの違い...
第4章

第1節 受動性について

視覚的世界において、もし私が自らの像の存在に無自覚であったならば、世界はただ存在しているということになるでしょう。なぜなら、像という概念が存在しないのであれば、「私」が世界を見ているという意識も生じ得ないからです。そして、世界がただ存在して...
第4章

第2節 客観に至る病

前節で述べたように、もし純粋に現実世界そのものとしての私というものが存在するならば、私は目の前の状況に対して無自覚に反応するだけでしょう。遊んでいる時は楽しく、勉強の時間になるとつまらなくなる。この時、楽しくなったり、つまらなくなったりする...
第4章

第3節 能動性について

ここまで、心的状態を主に受動的なものとして扱ってきました。しかし、そうすると私たちはただ状況に反応するだけの存在だということになってしまいますが、実際はもちろんそんなことはないでしょう。したがって、ここでは心的状態の能動性について考察したい...
第4章

第4節 現実世界の不確定性

最後に、心的状態が現実世界全体の内在的原因であることによって、理論上、現実世界に起こり得ることについて考察したいと思います。 たとえば、私の目や脳に何らかの不具合が生じ、赤いリンゴが青く見えるようになったとします。この時、私に働いているのは...