心の考察に取り掛かる前に、まず視覚と物の関係性について考察します。
便宜上、ここでは視覚的に存在するものは実在として扱います。もちろん錯覚や幻覚の類いはこの限りではありません。常識的に実在だと思われているものは触って確認しなくても実在だと判断するといった程度の意味だと解して下さい。
私が目指しているのは、視覚と物の関係性をより素朴に論じることです。
なぜなら科学的理論が実験によって証明されなければならないように、哲学的に論じられたものは日々の生活の中で証明されなければなりませんが、科学とは違い、哲学的理論が複雑であれば、それを実践することはほとんど不可能だからです。